「神戸ヤマト運輸殺傷事件」に透けるやばい貧困自助社会の底知れない恐怖!

激烈な怒りの爆発。
10月6日の神戸市北区のヤマトの集配所での死傷事件も、新聞の淡々とした記述のなかから、犯人の自暴自棄の怒りが立ち上ってくるかのようである。
男は46歳。
坊主頭で柔道選手を思わせるような容姿。
独身で一人暮らしのようだが、家族関係の報道もあり、双子の兄弟と母親が近所に住んでいる。
数少ない近隣の接触者証言として取り上げられているのは、元気で礼儀正しく挨拶も欠かさない人。実直な人物像である。
10月5日、事件前日、男はヤマト運輸に解雇された。
知らなかったが、ヤマト運輸の解雇についてはその苛烈さに告発のyoutubeなどもある。
動機であると思われる解雇理由については、広報からは発表されない。
そのせいで男のこれほどの怒りとその要因がいまひとつ謎となっている。
事件のあらましは、前日5日の出来事がトリガーになったようだ。男はいきなり解雇となったが、その出来事に被害者となった2人が絡んでいる。
一人は60代の男性。男を指導する立場なのだろう、荷物さばきが雑だと注意したことで口論になったという報道がある。この男性は同僚で従業員としか報道されていないので、所長などの役職者ではないようだ。
そして、口論の仲裁に入ったのが、今回脇腹を刺されて死亡した(まだ確定していないので、逮捕容疑は別だ)47歳の女性である。
口論の仲裁で男が興奮して60代の男性を払い除けた手で、女性を叩いたようになった。それを会社に相談したところ、会社に促されて神戸北署に相談するように促されたという。
即時解雇を可能とした要因がこのあたりにありそうだ。うがたった見方をすれば、会社として男の解雇の絶好の機会として利用したということも想像できないわけでない。

不思議なのは会社でのこの男の身分がどういうものだったかだが、あまりよくわからないことである。即時解雇処分からして非正規職員という立場なのだろう。
46歳という微妙な年齢での解雇は相当きつい。男は集配所内での荷物の仕分けなどの業務をやっていたようだが、歩合要素のあるドライバーではないため、いきなりの解雇は生存困難レベルの貧困に直結する。親族が近くにいて交流があるとはいえ、孤独きわまりない男にとって死刑宣告に匹敵する。想像するに、実直だが同僚や上司との付き合いが下手でトラブルの場面も多かったであろう男にとって、怒りが身体のなかでたぎり皮膚を突き破って一気に復習の爆発へと制御不能になっていったと思われる。
恨みの矛先は逆恨みとして、結果的に警察へ届けて会社の手助けをした女性に真っ先に向かった。
だが男の本質的な恨みの矛先は、状況から推察すると、集配所と会社の権力である。
集配所内のクルマを乗り回し、集配所内で暴れまわっているからだ。しかも警察に捕まる直前、すれ違いざまにパトカーにクルマをぶつけている。警察への恨みと不信もある。

もし心理カウンセラーとして男の悩みと対峙することを想像すると、申しわけないが私には力不足で男の役に立つことはできそうもない。男の世間や社会に拒絶されっぷりがもはや異常である。
男はこんな事件を起こすのだから異常者だと差別しても、むしろその異常性を引き出した貧困の歪みがとても21世紀の日本の状況とは思えない。
社会不安障害などと規定してみても、むしろ社会が底抜けしてる前では分類や心理学的アプローチは役に立ちそうにない。
精神科医の下す精神鑑定がこれからは男の残りの人生をある程度規定するかもしれないが、それは男にとって慰めになるのだろうか。
この事件の息苦しさは、同僚同士の諍いがトリガーになったところである。殺された女性の家族にとってみれば無念以外のなにものでもない。どうしても犯人の意識ばかり想像してしまうが、女性や同僚男性もまた真面目で上司や会社になんとなく言い含められて男を疎んじていたかもしれない。
それを導いた会社のシステムと宅配サービス産業にまつわる社会のゆがみがまるでどす黒いマグマ溜まりのようにうずまいいてる。
政府は自助という。自助とはなにか?ケネディきどりか?ベーシックインカムという名のセーフティネットを月7万円でやろうとする発想が、男にとってはどうだったか?それは納得のいくものなのかどうか?男はなんと答えるだろう?
自助ではなく、地域社会の助け合いのコミュニティ(真のセーフティネット)が壊れていることの底知れない恐怖を、男の事件は如実に示したのではないだろうか。

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