舞茸で勝負する銀座アルジェントの独創!

レストランひらまつ株価、現在(2020/10/05 10:02)、1株203円。
9月25日に業績予想を出した。
連結で、6,483(百万円)、営業利益▲2,232(百万円)、当期純利益▲2,901(百万円)。
売上高が648億円に対し、前期比340億円もの減収。当期純利益が29億円の赤字。経営陣は身悶えしたくなるような業績である。
コロナ禍は、マルチフォーマットのレストランチェーンを直撃した。
そもそも公開の上場企業で高品質のレストランを維持するのは至難の業である。
株主の利益確保要求に対して、極端な減収に対しては、コストダウンが最優先事項になるからだ。
なにをコストダウンするのか?
IR資料にあるように、賃料からはじまって、出店計画の見直しから組織体制の変更まで、あらゆる側面に及ぶ。
ひらまつは、何店もの店舗を運営するが、どれも高品質で綺羅星のような名店ぞろいである。

先日、ひらまつグループの1店舗、銀座の「アルジェント」(Argento)を訪れる機会があった。
そこで出くわしたのが舞茸を素揚げしたスープ仕立ての一品である。
舞茸はそのへんのスーパーで、安いところなら100円ぐらいで売っている素材である。
もちろん高級なものを手配しているのであろうが、このありふれた素材で勝負するのがすごいと思った。
舞茸の素揚げを包み込んでいるスープも、舞茸を1週間ぐらい発酵させたエキスをバターと泡立てたものだという。中には蕎麦の実。湯がいたものと揚げたもの。
素揚げの香ばしさは、秋にふさわしく枯れ木の森を味わうようで、スープには独特の甘みが感じられる。スプーンでそばの実をすくって口に含むと、硬軟取り混ぜた感触が楽しい。
やはり現代フレンチの技巧は驚くべきものである。独創性と技術において、そして絵画のように美しい秋の一皿の光景は、料理の付加価値を高めるイメージのお客との共有にほかならない。
それがアートというなら申し分なくアートなのだが、一瞬にして消えてしまう即興性では、即興の音楽に近い。
楽しみはせいぜい10分程度で、かすかな印象だけが残っていく。もっとも消えやすい感性である。

アルジェントの舞茸の素揚げが教えてくれるのは、素材は重要だが、それが希少性ばかりで推し量れるものではないということだ。
舞茸の栄養価をご存知だろうか?
あまりにありふれているために見逃しがちだが、舞茸は免疫効果があり、ガン抑制に有効性があるとされている。
コロナ禍で免疫力を高めるのは理にかなったことであるが、見た目と味だけではなく、健康に対する視点を料理人はもちろん考えている。
やはり料理は音楽に似ている。レシピは楽譜と共通点が多い。観客がありその反応を想像しながら、相互的なコミュニケーションによって場がつくられる。
舞茸という意外性が、むしろその技巧の素晴らしさを突出させる。
素材を落としたと取られるよりも、その目線を大いなる挑戦として乗り越えていくフレンチのすごさに感動したのである。
ちなみに同レベルの客単価の和食で、舞茸というのはなかなかメインの素材として扱われることはないように思う。
最近の東京のフレンチは、フランス直送などよりは、和の食材をアレンジするものが増えていると感じる。すでにアルジェントは日本国内産の素材のみでコースをつくり上げている。
そうしたプロのせめぎあいが楽しい。

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